FDE型とは|博報堂DY・電通の「FDE型」サービスと人材を比べる
執筆・監修:FDE Talent編集部/各社の公式求人票・公式発表などの一次情報を出典として明記しています
この記事の要点
- 01「FDE型」は、FDE(Forward Deployed Engineer)のように顧客の現場に入り、課題の発見から実装・定着までを一続きで受け持つ支援や人材を指す言葉として、2026年に国内の広告・コンサル会社の発表で使われている。
- 02博報堂DYホールディングスは2026年10月23日、博報堂など主な参画企業11社を含むグループ横断の200名を超えるFDE専門人材がチームを組む「AI変革サービス」を始めると発表し、FDE型マーケティング人材・FDE型クリエイティブ人材などの区分を示した。
- 03博報堂は10月26日、AIエージェントを開発・納品するのではなく、顧客の現場社員と共作するFDE型コンサルティング「DATA GEAR for AI-Transformation」を発表し、エンジニアに加えてコンサルタントとプランナーが携わるとした。
- 04国内電通グループ4社は10月14日、約3,000人を対象にFDEとFDM(Forward Deployed Marketer)のスキル開発プログラムを始めると発表しており、3,000人は育成の対象の人数である。
- 05FDE型のサービスを頼む企業は、来る人の職種の内訳、作ったものの持ち主、支援が終わったあと社員が自分で直せるかを、契約の前に確かめる必要がある(編集部の見方)。
「FDE型」とは、FDE(Forward Deployed Engineer/フォワードデプロイドエンジニア)のように顧客の現場に入り込み、課題の発見から解決策の設計・実装・定着までを一続きで受け持つ働き方を、サービスや人材の名前に借りた言葉です。2026年10月の2週間で、広告大手の2グループが、FDEやFDE型という言葉を使った発表を続けました。博報堂DYホールディングスは10月23日に200名を超える「FDE専門人材」によるサービスを[1]、博報堂は10月26日に「FDE型のコンサルティングサービス」を[3]、国内電通グループは10月14日に約3,000人を対象にしたFDE・FDMのスキル開発を発表しています[4]。
この記事では、各社の発表を原文で読み、同じ「FDE型」という言葉の下で、誰が、何を、どこまでやるのかを比べます。そのうえで、こうしたサービスを頼む企業と、自社でFDE型の人材を育てたり採ったりする企業が、何を確かめればよいかを整理します。FDEという職種そのものの解説はFDEとは?を、FDEとコンサル・SESの違いはFDEとSES・SIer・コンサルの違いを見てください。
「FDE型」とは何を指すのか?
各社の発表に共通するのは、顧客の現場に入ること、業務を理解したうえで課題を見つけること、実装まで自分たちで手を動かすこと、現場に定着させるところまで付き合うこと、の4点です。博報堂DYホールディングスは「FDE専門人材」を「クライアント企業の現場業務に伴走し、業務を深く理解しながら、課題の発見から実装、定着までを一気通貫で担う人材」と定義しています[1]。フォーティエンスコンサルティングは2026年6月に、業務知識と実装力を持つコンサルタントが顧客組織に直接入り込む「FDE(Forward Deployed Engineering)型コンサルティングサービス」を始めました[5]。
一方で、「型」が付くとき、担い手はエンジニアに限られません。博報堂DYは「FDE型マーケティング人材」「FDE型クリエイティブ人材」「FDE型コンサルティング人材」を挙げ[1]、電通グループはFDEと並べてFDM(Forward Deployed Marketer)を育てるとしています[4]。FDEの働き方を、エンジニア以外の職種にも広げて使っているのが、2026年10月の発表の特徴です。
博報堂DYの200人体制は何をするのか?
博報堂DYホールディングスのAI専門家集団「Human-Centered AI Professionals(HCAI Professionals)」が、2026年10月23日に「AI変革サービス」を始めると発表しました[1]。マーケティング、クリエイティブ、コンサルティング、テクノロジーなどの専門性を持つFDE専門人材が、顧客の課題や目指す成果に合わせてチームを組み、事業部門や機能部門に伴走します[1]。発表は主な参画企業として、博報堂、博報堂テクノロジーズ、Hakuhodo DY ONE、Magicx consulting、ソウルドアウト、オプトなど11社を挙げています[1]。日本経済新聞は前日の10月22日に、グループ横断で200人規模を集めると報じていました[2]。
| 特長 | 発表の内容 |
|---|---|
| ①カスタマーゼロ | 博報堂DYグループ自身を最初の顧客と位置づけ、自社の事業領域でAI変革を進めてきたノウハウをもとに支援する[1] |
| ②完全伴走型 | 専門領域に精通した人材が顧客の担当者と課題を特定し、AIエージェントの開発や業務プロセスの再設計で解決策を実行・実装する[1] |
| ③CX・EXを起点にした体験設計 | 顧客体験と従業員体験の両方を高める目的でAIの使い方を設計し、画面や対話の振る舞いとして実業務に組み込む[1] |
| ④データ基盤との連携 | 20万人規模の生活者データを基盤とした統合プラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM」を使う[1] |
発表は、FDE専門人材の育成・拡充をさらに進めるとしています[1]。200名の職種の内訳(エンジニアが何人か)や料金は書かれていません。
博報堂の「DATA GEAR for AI-Transformation」は何が違うのか?
博報堂が10月26日に発表した「DATA GEAR for AI-Transformation」は、同じFDE型でも、作って納めることを目的にしていない点が特徴です。発表は「博報堂がAIエージェントを開発・納品するのではなく、業務を最も理解しているクライアント現場社員とともに」、AIを使う業務の特定からAIエージェントの作成・実装、運用・改善までを実践すると書いています[3]。目指すのは、現場の社員が自分でAIを使い、作り、直しながら業務を変え続けられる状態です[3]。
博報堂はこのサービスを、2025年6月から提供している「DATA GEAR for AI-Ready」(個別業務のプロセス・データ・組織をAIに任せられる形に整えるもの)の次の段階と位置づけ、HCAI Professionalsの活動として提供するとしています[3]。
「どの案件でも、次の顧客がより良い出発点に立てるようにするのが目標だ。この種類の課題を次に解くときに顧客がFDEを必要としないところまで底上げできれば、仕事をうまくやったことになる。」
“Our goal is for each engagement to leave the next customer with a better starting point—if we raise the floor to the point our customers don’t need FDEs to solve this class of problem the next time, we have done our job well.”
電通グループの3,000人とFDMとは何か?
国内電通グループは2026年10月14日、電通・電通デジタル・電通総研・イグニション・ポイントの4社で、Google Cloudの企業向けAIプラットフォーム「Gemini Enterprise」を使ったFDE・FDMのスキル開発プログラムを、グループ横断で約3,000人を対象に始めると発表しました[4]。FDEとFDM(Forward Deployed Marketer)はどちらも、注記で「生成AI活用を軸に、クライアントの現場で事業変革を支援する実践型人財」と説明されています[4]。
プログラムでは、Gemini Enterpriseの実践的な使い方から業務フローへの組み込み方までを学び、マーケティングやビジネスの最前線で課題を捉えて自らプロジェクトを引っ張れる人材を育てるとしています[4]。FDEは顧客の現場に入り、事業・マーケティング戦略の構想、インサイトの発掘、クリエイティブの生成と効果検証、日常のオペレーションへの統合までを伴走型で進めると書かれています[4]。
各社の「FDE型」を並べると何が違うのか?
| 博報堂DY AI変革サービス | 博報堂 DATA GEAR for AI-Transformation | 電通グループ FDE・FDM | フォーティエンス FDE型コンサル | |
|---|---|---|---|---|
| 発表 | 2026年10月23日[1] | 2026年10月26日[3] | 2026年10月14日[4] | 2026年6月16日[5] |
| 人数 | 200名超が在籍[1] | 記載なし | 約3,000人が育成の対象[4] | 記載なし |
| 担い手 | マーケティング・クリエイティブ・コンサル・テクノロジーの専門人材[1] | エンジニア・コンサルタント・プラナー[3] | FDEとFDM(Forward Deployed Marketer)[4] | 業務知識と実装力を持つコンサルタント[5] |
| 主な成果物 | AIエージェントの開発、業務プロセスの再設計、体験設計の実装[1] | 現場社員と共作したAIエージェントと、社員が自分で直せる体制[3] | 戦略構想から日常オペレーションへの統合まで[4] | AI前提の業務設計からアプリの実装・改善・定着まで[5] |
| 使う基盤 | CREATIVITY ENGINE BLOOM[1] | 記載なし | Gemini Enterprise[4] | 記載なし |
| 料金 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 個別見積もり[5] |
比べると、FDE型には大きく3つの作り方があります。1つ目は、支援する側が作って本番に乗せる形です。FDE型のサービスに限らず、富士通がミスミで、FDEが業務担当者と組んで9つのAIエージェントを約2.5か月で実業務に乗せた例がこれにあたります(詳しくは富士通のFDEとは)[7]。2つ目は、博報堂のDATA GEARのように、顧客の社員と一緒に作り、社員が自分で作り直せるようにする形です[3]。3つ目は、電通グループのように、まず自社の社員を大人数で育てて、現場に出られる人を増やす形です[4]。博報堂DYのAI変革サービスは、自社を最初の顧客にした実践を土台に、1つ目と2つ目の間をチームの組み方で調整する形に読めます[1](編集部の見方)。
「FDE型」と本来のFDEはどこが違うのか?
FDEはもともと、PalantirやOpenAIのような自社製品を持つ会社のエンジニアが顧客の現場に入る職種です。OpenAIのJarvis氏は、FDEが顧客と一緒に最も難しい課題に取り組み、そこで学んだことが自社の製品を形づくり、研究部門に具体的な課題を渡す、と説明しています[6]。現場で得た知見を自社の製品へ戻す回路があることが、FDEを受託開発や常駐と分ける点としてよく挙げられます。
広告会社・コンサル会社のFDE型では、戻す先が自社製品とは限りません。博報堂DYは自社の実践ノウハウとCREATIVITY ENGINE BLOOMを[1]、電通グループはGoogle CloudのGemini Enterpriseを[4]挙げています。前者は自社の資産、後者は他社の基盤です。調査会社Gartnerが2026年9月29日、コンサルティングをFDEとして売り出す動きを「FDEウォッシング」と呼んでその広がりに警告したことは[8]、FDE1万人育成と「7割放棄」予測で扱いました。FDE型を名乗ること自体が悪いのではなく、何が顧客の手元に残り、何が支援する会社の資産になるのかが、発表からは見えにくいことが問題です(編集部の見方)。
FDE型のサービスを頼む企業は何を確かめるべきか?
確かめたいのは、来る人、残るもの、終わり方の3点です。各社の発表には、どれも人数の内訳や料金が書かれていないので[1][3][4]、提案の段階で聞き出す必要があります(以下は編集部の見方)。
- 来る人の職種の内訳。 「FDE型」にはマーケター・クリエイター・コンサルタントも含まれます[1][4]。自社の課題がシステムの実装を伴うなら、コードを書く人が何人入り、週に何日現場にいるのかを聞きます
- 作ったものの持ち主。 AIエージェント、プロンプト、業務ルール、データの持ち主を契約で決めます。博報堂DYのように自社のデータ基盤(CREATIVITY ENGINE BLOOM)と組み合わせる場合は、支援が終わったあとにその基盤なしで動くかを確かめます[1]
- 終わったあと社員が直せるか。 DATA GEARのように、社員が自分でAIエージェントを作り直せる状態をゴールに置くサービスもあります[3]。どのサービスでも、業務ルールの変更を誰が行えるかを決めておくと、支援が長引くのを防げます。出口の作り方はFDEのベンダーロックインを防ぐにはで整理しました
- 成果の測り方と料金。 フォーティエンスの料金は個別見積もりで[5]、他社の発表には料金の記載がありません。課金の型(人月・利用量・成果報酬)ごとの確認点はFDEの費用は誰がどう払うのかを参照してください
自社でFDE型の人材を育てる・採るときは何を参考にできるか?
2社のやり方は、自社でFDE型の人材を増やしたい企業にも参考になります。電通グループは、全社で使うAI基盤(Gemini Enterprise)を決め、その使い方と業務フローへの組み込み方を大人数に教えるところから始めています[4]。博報堂DYは、自社を最初の顧客にしてAI変革を進め、その実践ノウハウを持つ人材をグループ横断で集めました[1]。DATA GEARの5段階(認知→初回利用→継続→主体的に活用→推奨)は、顧客向けのものですが、自社の育成の進み具合を測る物差しにも使えます[3]。
ただし、研修だけでFDEが育つわけではありません。Palantirの社内ローテーションや国内外の研修・認定プログラムの比較はFDE育成はどう進めるのかで、採用要件の作り方と選考設計はFDE採用ガイドで扱っています。求職者の側から見ると、「FDE型マーケティング人材」のような職種が広告会社やコンサル会社で増えるなら、エンジニア以外の経歴からFDE的な働き方に入る道が広がります。コンサルからの移り方はITコンサルからFDEへの転職を見てください。
よくある質問
QFDE型とは何ですか?
FDE(Forward Deployed Engineer)のように顧客の現場に入り込み、業務を理解したうえで課題を見つけ、解決策の設計・実装から現場への定着までを一続きで受け持つ支援や人材を指す言葉です。2026年には、フォーティエンスコンサルティングの「FDE型コンサルティングサービス」、博報堂の「DATA GEAR for AI-Transformation」、博報堂DYの「FDE型マーケティング人材」などの名前で使われています。
QFDMとは何ですか?
Forward Deployed Marketerの略です。国内電通グループは2026年10月14日、FDEとFDMのスキル開発プログラムを約3,000人を対象に始めると発表し、どちらも生成AI活用を軸に、クライアントの現場で事業変革を支援する実践型人財と説明しています。
Q博報堂DYのFDE専門人材は何人いますか?
博報堂DYホールディングスの2026年10月23日の発表によると、AI専門家集団HCAI Professionalsに200名を超えるFDE専門人材が在籍しています。主な参画企業として、博報堂、博報堂テクノロジーズ、Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウトなどグループ11社が挙げられています。職種の内訳は公表されていません。
QFDE型のコンサルティングと普通のコンサルティングは何が違いますか?
各社の説明では、提案や構想にとどまらず、顧客の現場に入って実装と定着まで自分たちで手を動かす点が違いです。ただし、来る人の職種の内訳や料金を公表していない会社が多いため、頼む企業は、コードを書く人が何人入るか、作ったものの持ち主は誰か、支援が終わったあと社員が自分で直せるかを契約の前に確かめる必要があります。
出典・参考資料
- 1
博報堂DYホールディングス ・ 公開 2026-10-23 ・ 閲覧 2026-10-27
FDE専門人材の定義、200名超の在籍、4つの特長、参画企業11社、今後の育成・拡充を参照
- 2
記事博報堂DYHD、AIコンサル「FDE」を展開 200人体制で導入支援
日本経済新聞 ・ 公開 2026-10-22 ・ 閲覧 2026-10-27
グループ横断で200人規模を集めるという報道(見出しと冒頭)を参照
- 3
公式博報堂、クライアント現場社員とAIエージェントを共作しAI-Drivenな組織変革を支援するFDE型コンサルティングサービス「DATA GEAR for AI-Transformation」の提供開始
博報堂(PR TIMES) ・ 公開 2026-10-26 ・ 閲覧 2026-10-27
開発・納品ではなく共作という方針、チームの構成、AIに任せる範囲のガイドライン、5段階の成熟度を参照
- 4
公式国内電通グループ、3,000人規模のFDE・FDMスキル開発を開始
イグニション・ポイント(PR TIMES) ・ 公開 2026-10-14 ・ 閲覧 2026-10-27
4社共同のFDE・FDMスキル開発プログラム(約3,000人、Gemini Enterprise)とFDE・FDMの説明を参照。同じ内容は電通デジタル・電通総研のサイトにも掲載
- 5
記事フォーティエンス、AI前提の業務設計から実装までを支援する「FDE型コンサルティングサービス」を提供
クラウド Watch ・ 公開 2026-06-17 ・ 閲覧 2026-10-27
FDE型コンサルティングの内容、個別見積もり、5年後に100億円規模の売上目標を参照
- 6
Colin Jarvis(OpenAI Head of Forward Deployed Engineering) ・ OpenAI ・ 公開 2026-10-22 ・ 閲覧 2026-10-27
FDEの学びが製品と研究に戻るという説明と、顧客がFDEを必要としないところまで底上げするという目標を参照
- 7
公式富士通、ミスミ様のECサイト向け商品情報管理にマルチAIエージェントを導入
富士通 ・ 公開 2026-10-22 ・ 閲覧 2026-10-27
FDEが業務担当者と組み、9つのAIエージェントを約2.5か月で実業務に適用した事例を参照
- 8
Gartner ・ 公開 2026-09-29 ・ 閲覧 2026-10-27
コンサルティングをFDEとして売り出す「FDE washing」のリスクについての記述を参照
この記事は上記の出典を原文で確認したうえで執筆し、に全出典を再検証しています。求人内容・報酬・組織体制は変更されることがあります。最新の情報は各出典の原文をご確認ください。
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