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FDEの実態|実務家24人の調査と求人508件で見る食い違い

執筆・監修:/各社の公式求人票・公式発表などの一次情報を出典として明記しています

FDEの実態を実務家24人の調査と求人508件で比べる記事のサムネイル

この記事の要点

  • 01FDEの実務家向けニュースレターFDE Hubが2026年10月27日に公開した調査(回答24人)では、FDEチームの報告先が技術6人・CEOや創業者5人・サービス5人・営業4人・プロダクト3人と割れ、一番多い答えでも4分の1だった。
  • 02同じ調査で、顧客案件で本番のコードを書く17人のうち、コードがコア製品に取り込まれると答えたのは4人で、9人は顧客ごとの個別の成果物にとどまると答えた。
  • 03編集部が2026年10月28日に取得したFDE求人508件(77社)では、製品やロードマップへのフィードバックに触れた会社が37社あった一方、コア製品のコードへの貢献を明記した会社は6社にとどまった。
  • 04求人票の部署欄でプロダクト部門に置かれていたのは77社中1社(Abridge)で、エンジニアリング26社、FDE・導入の独立部門18社、サービス・顧客部門16社、営業・GTM8社と、調査と同じく所属先は割れていた。
  • 05調査の回答者24人のうち、2年後も同じ種類の仕事をしていると答えたのは4人で、7人はFDEチームを率いる、5人は起業する、4人はプロダクトや技術の職に移ると答えた。

FDE(Forward Deployed Engineer/フォワードデプロイドエンジニア)の実態は、外から書かれた解説記事ではなかなか見えません。FDEの実務家向けニュースレター「FDE Hub」を運営するMilos Mandic氏は2026年10月27日、FDEとして働く人に直接聞いた調査「State of FDE 2026」の結果を公開しました[1]。回答は最低限必要と考えていた100件に届かず24件でしたが、同氏は、24人の詳しい答えは24回のインタビューと同じくらいのことを教えてくれる、と書いています[1]。

この記事では、この調査の答えを、編集部が10月28日に取得したFDE求人508件(77社)の部署欄と本文に突き合わせます。当事者が考えるFDEと、企業が求人票で描くFDEがどこで食い違うのかを、所属、コードの行き先、時間の使い方、2年後の行き先の4つで見ていきます。FDEの1日・1週間の流れはFDEの働き方で、キャリアの先はFDEのキャリアパスで扱っています。

どんな調査で、誰が答えたのか?

調査は2026年9月に始まり、Mandic氏は報酬やチーム構成について意味のあることを言うには最低100件、できれば150〜200件の回答が必要と考えていました。締め切った時点の回答は24件です[1]。同氏は事前に決めていた基準を守り、中央値・割合・報酬の数字は公開していません。24人で割合を出すと、12人が「回答者の半数」になって市場全体の話のように聞こえてしまうからだと説明しています[1]。この記事も同じ考え方で、調査の結果は割合ではなく人数で書きます。

State of FDE 2026 の回答者(24人)
項目人数
北米で働く人(うち米国)20人(15人)[1]
AIプロダクトのスタートアップ・スケールアップで働く人16人[1]
FDE型の仕事に就いて2年未満の人15人(うち6人は職歴15年超)[1]
この1年でチームが大きくなったと答えた人20人(小さくなったと答えた人は0人)[1]
FDE Hub「State of FDE 2026: The Survey Results」(2026年10月27日)の記載を編集部が表にした

FDEチームはどの部門に置かれているのか?

結論から言うと、会社によってばらばらです。調査で、FDEの組織が誰に報告しているかを聞いたところ、技術部門が6人、CEOや創業者が5人、サービス・デリバリー部門が5人、営業が4人、プロダクトが3人でした(合計23人。残る1人の答えは書かれていない)[1]。一番多い答えでも全体の4分の1で、Mandic氏は、企業がFDEのチームを「顧客に向き合う技術チーム」「導入の組織」「営業のリソース」「プロダクトの機能」のどれとして扱うかを決めきれていないことを示している、と読んでいます[1]。

求人票でも同じ傾向が見えました。編集部は、FDE求人508件の部署欄を会社ごとに分類し、その会社で一番多い部署を数えました。

FDE求人の部署欄の分類(77社、会社ごとに最も多い部署で数えた)
部署欄の分類社数例
エンジニアリング26社Anthropic、Ramp、Scale AI、Snowflake、Zip など
FDE・導入の独立部門18社OpenAI(Forward Deployed Engineering)、Palantir(Delta)、Cursor、Cognition、Glean など
サービス・顧客部門16社Databricks(Professional Services Operations)、Tines(Professional Services)、MongoDB、Vercel など
営業・GTM8社Harvey、Notion、Asana、Exa など
プロダクト1社Abridge(Builder / Product)
その他8社Cloudflare(Developer Relations)、Stripe、Coinbase など
編集部が集計。2026年10月28日に、133の公開ジョブボード(うち130が応答)から職種名にForward Deployed・FDE・FDSEを含む求人508件(77社)を取得して数えた。語句の機械的な検索で数え、一部の文脈を目で確かめた。会社の紹介文などの定型文が混ざる可能性がある。部署欄は採用管理システムに登録された部署名で、実際の報告先と同じとは限らない

プロダクト部門に置かれていたのは、医療AIのAbridgeの「Member of Product Staff, Forward Deployed」だけで、これはエンジニアではなくプロダクトマネージャーの求人です。この求人は、現場に出て医療機関の業務の隙間を理解し、ポッドを率いて、現場での学びをAbridgeのコア製品に直接戻す役割だと書いています[2]。

FDEが書いたコードはどこへ行くのか?

多くは顧客のところに残ります。調査で、顧客案件で本番のコードを書くと答えた17人に、そのコードの行き先を聞いたところ、コア製品に取り込まれるが4人、顧客ごとの個別の成果物や連携にとどまるが9人、両方が残りの4人でした[1]。ある回答者は、ソリューションは多くの人が認めたがる以上に個別仕様だ、と書いています[1]。

一方、自由記述では4人が、FDEをプロダクトの機能だと表現しました。FDEは実際の使われ方と製品の足りないところを一番よく知っている、FDEはプロダクトエンジニアとして扱い、厳しい営業ノルマから外すべきだ、という声です[1]。プロダクト部門に報告していると答えた3人よりも、FDEをプロダクトの仕事だと考える人のほうが多いことになります。

製品・ロードマップへのフィードバックに触れたFDE求人を出していた会社(77社中)
37社
編集部が集計。2026年10月28日に、133の公開ジョブボード(うち130が応答)から職種名にForward Deployed・FDE・FDSEを含む求人508件(77社)を取得して数えた。語句の機械的な検索で数え、一部の文脈を目で確かめた。会社の紹介文などの定型文が混ざる可能性がある
コア製品・社内のコードベースへの貢献を明記したFDE求人を出していた会社(77社中)
6社
Giga、Legora、OpenAI、Reflection、Scale AI、Stripe(Privy)。製品改善への貢献とだけ書き、コードかどうか読み取れないものは除いた。編集部が集計。2026年10月28日に、133の公開ジョブボード(うち130が応答)から職種名にForward Deployed・FDE・FDSEを含む求人508件(77社)を取得して数えた。語句の機械的な検索で数え、一部の文脈を目で確かめた。会社の紹介文などの定型文が混ざる可能性がある
本番のコードを書く17人のうち、コードがコア製品に取り込まれると答えた人
4人
FDE Hubの調査(2026年10月27日)[1]

求人票は、「顧客の声を製品に届ける」ことは多くの会社が書いていますが、「コードを製品に入れる」ことまで書く会社は少数でした。明記していた例には、次のようなものがあります。

  • Giga: 製品・基盤チームとのフィードバックの輪を閉じ、満たされていないニーズを拾い、新機能を試作し、コードベースに直接貢献する[3]
  • Legora: 顧客のシステムとつなぐ連携を作り、Legoraのコア製品にも貢献する(ジュニア・ミドル向けの求人)[4]
  • OpenAI: プロダクトエンジニアと組んでコア製品の開発に直接貢献し、現場の学びを製品の判断に持ち込む(AIインフラのFDE)[5]
  • Reflection: 研究チームと顧客向けにモデルを調整し、推論・ファインチューニング・評価の社内コードベースに貢献する[6]

FDEの1週間は何に使われているのか?

コードを書くかどうかで、2つの別の仕事に分かれています。調査で、1週間を課題の発見・情報集めと、作ることにどう分けているかを聞くと、全体のばらつきは目立たないものの、本番のコードを書くかどうかと掛け合わせると傾向がはっきりしました[1]。1週間の8割を発見に使うと答えた4人は全員が本番のコードを書かず、8割を作ることに使うと答えた4人は全員が書いていました[1]。

Mandic氏は、両端の人は同じ仕事の軽い版と重い版をしているのではなく、同じ職種名で2つの違う仕事をしている、と書いています[1]。Mandic氏は、FDEの役割が、情報を集めて関係を保つ側と、深く技術に入る側に分かれつつあるという、今年書いた論考とも合っていると述べています[1]。日本の求人での分かれ方は日本で応募できるFDE求人を読むで扱いました。

保守の負担も見えています。24人のうち7人は、引き渡したあとも自分が作ったシステムの面倒を見続けていると答え、12人は1週間の1割以上を、納品済みのシステムを動かし続けることに使っていると答えました[1]。Mandic氏はFDEチームを率いる人に向けて、半年前に出荷したものを誰が持っているかを確かめ、答えが「FDE本人」なら、発見に使うはずの予算を保守に使っている、と書いています[1]。

FDEに営業ノルマはあるのか?

FDEは厳しい営業ノルマから外すべきだ、という声が調査の自由記述にありました[1]。2026年10月28日時点の求人票では、508件のうち報酬をOTE(インセンティブ込みの目標年収)やコミッション付きで示していた求人を出していた会社が8社ありました(Cresta、Firecrawl、Harvey、Notion、Parloa、Tavily、Tines、Together AI。全社共通の定型文で触れているだけのものは除いた)。たとえばHarveyの金融向けFDEはOTE 25万4,600〜35万ドル(固定75・変動25)[7]、Tinesの公共部門向けシニアFDEはOTE 22万〜24万ドル(固定90・変動10)で、顧客先への出張20〜40%を求めています[8]。

変動部分の割合は求人によって違い、FDEの評価が営業成績にどこまで結び付くのかは、求人票だけでは分かりません。応募する人は、変動部分が何の指標で決まるのか(受注額か、顧客の利用率か、案件の成果か)を確かめる必要があります。FDEの成果の測り方と課金の関係はFDEの費用は誰がどう払うのかでも扱いました。

FDEの人は2年後にどこにいると考えているのか?

多くは今と違う場所にいると考えています。調査では、モデルが良くなるにつれてFDEの役割がより重要になると答えた人が15人、重要でなくなると答えた人は1人でした[1]。それでも、2年後も同じ種類の仕事をしていると答えたのは4人だけで、7人はFDEチームを率いる、5人は起業する、4人はプロダクトや技術の職に移る、3人は分からないと答えています[1]。

2年後に何をしていると思うか(State of FDE 2026)
答え人数
FDEチームを率いている7人[1]
何かを起業している5人[1]
同じ種類の仕事をしている4人[1]
プロダクトや技術の職に移っている4人[1]
正直に言って分からない3人[1]
FDE Hub「State of FDE 2026: The Survey Results」(2026年10月27日)の記載を編集部が表にした。合計は23人で、残る1人の回答は記事に書かれていない

Mandic氏は、この組み合わせを2通りに読んでいます。FDEは研修医の期間のような通過点で、それで構わないという読み方と、今の形の仕事が人をすり減らしているという読み方です。保守を抱え続ける人が少なくないことは後者を支える材料だとしつつ、24人からはどちらとも言えず、次の調査で一番答えたい問いだと書いています[1]。

当事者は採用のどこがずれていると考えているのか?

自由記述で、FDEについて市場が誤解していることを13人が答えました[1]。一番多かったのは職種名への不満で、プリセールスやソリューションエンジニアが理由なくFDEと呼ばれている、カスタマーサクセスのFDEまで見た、という声です[1]。予想外だったのは採用についての声で、2人が別々に、業界はソフトウェアエンジニアとしての経歴を重く見すぎていると書きました[1]。1人は、理想はビジネス・対人のスキル6割・技術4割なのに、業界は技術8割で採っている、と書いています[1]。

求人票では、77社のうち28社が、FDE求人のどこかで学位(計算機科学・工学など。必須・歓迎の両方を含む)に触れていました。そのうち13社は、学位の記載の近くに「または同等の経験」のような代わりの道を書いていました。学位に触れない会社のほうが多く、経歴の見方は会社によって分かれています(編集部が語句の検索で数えた。言い回しによっては取りこぼしがありうる)。

Mandic氏は採用する側に向けて、この調査の回答者は基準の高さではなく、基準を置く場所が違うと言っている、とまとめています[1]。日本でFDEを採る企業にとっては、技術の経歴だけで足切りをせず、顧客と課題を定義した経験を同じ重さで見る理由になります。採用要件と選考の作り方はFDE採用ガイドで扱っています。

FAQ

よくある質問

QFDEの実態はどうなっていますか?

FDEの実務家向けニュースレターFDE Hubが2026年10月27日に公開した調査(回答24人)では、FDEチームの報告先が技術・CEO・サービス・営業・プロダクトに割れ、本番のコードを書く17人のうちコードがコア製品に入ると答えたのは4人でした。編集部が10月28日に取得したFDE求人508件(77社)でも、部署欄はエンジニアリング26社、FDE・導入の独立部門18社、サービス・顧客部門16社、営業・GTM8社、プロダクト1社と分かれていました。

QFDEは何年くらい続ける仕事ですか?

FDE Hubの調査では、回答者24人のうち2年後も同じ種類の仕事をしていると答えたのは4人で、7人はFDEチームを率いる、5人は起業する、4人はプロダクトや技術の職に移ると答えました。一方で15人はFDEの役割がより重要になると答えています。回答は北米のAIスタートアップの人が中心で、24人の傾向として読む必要があります。

QFDEの求人に営業ノルマや歩合はありますか?

ある求人もあります。編集部が2026年10月28日に集計したFDE求人508件では、報酬をOTE(インセンティブ込みの目標年収)やコミッション付きで示した求人を出していた会社が8社ありました。たとえばHarveyの金融向けFDEは固定75・変動25、Tinesの公共部門向けシニアFDEは固定90・変動10でした。変動部分が何の指標で決まるかは求人票では分からないため、面接で確かめる必要があります。

QFDEになるにはコンピューターサイエンスの学位が必要ですか?

会社によります。2026年10月28日に集計したFDE求人77社のうち、学位(計算機科学・工学など)に触れていたのは28社で、そのうち13社は「または同等の経験」のような代わりの道も書いていました。学位に触れない会社のほうが多いです。FDE Hubの調査では、業界がソフトウェアエンジニアとしての経歴を重く見すぎているという声もありました。

Sources

出典・参考資料

  1. 1

    記事State of FDE 2026: The Survey Results

    Milos Mandic ・ FDE Hub ・ 公開 2026-10-27 ・ 閲覧 2026-10-28

    回答者24人の属性、報告先、コードの行き先、時間の使い方、保守の負担、2年後の行き先、自由記述の内容を参照

  2. 2

    求人票Member of Product Staff, Forward Deployed

    Abridge ・ 閲覧 2026-10-28

    部署欄がBuilder / Productで、現場の学びをコア製品に直接戻すと書く求人として参照

  3. 3

    求人票Forward Deployed Engineer I/II

    Giga ・ 閲覧 2026-10-28

    コードベースへの直接の貢献を明記した例として参照

  4. 4

    求人票Junior/Mid-level Forward Deployed Engineer

    Legora ・ 閲覧 2026-10-28

    コア製品への貢献を明記した例として参照

  5. 5

    求人票Forward Deployed Engineer (FDE) - AI Infra - SF

    OpenAI ・ 閲覧 2026-10-28

    コア製品の開発への直接の貢献を明記した例として参照

  6. 6

    求人票Forward Deployed Engineer, Lead - AI Engineer

    Reflection ・ 閲覧 2026-10-28

    推論・ファインチューニング・評価の社内コードベースへの貢献を明記した例として参照

  7. 7

    求人票Forward Deployed Finance Engineer, Buyout

    Harvey ・ 閲覧 2026-10-28

    OTE $254,600〜$350,000(75/25 Split)の記載を参照

  8. 8

    求人票Senior Forward Deployed Engineer - Public Sector

    Tines ・ 閲覧 2026-10-28

    OTE $220〜240K(90/10 split)と出張20〜40%の記載を参照

この記事は上記の出典を原文で確認したうえで執筆し、に全出典を再検証しています。求人の件数・内容は2026年10月28日時点のものです。募集は予告なく終了・変更されることがあります。

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